メイン写真

広告制作会社 制作ディレクターが考える「私のお葬式」

雑記

こんにちは、香華殿の村井です!

以前こちらに「プロが考える私のお葬式」というブログを掲載し多くの方にお読みいただきました。やはり葬儀のプロは葬儀の知識や経験が豊富なため「棺に家族の写真を入れたい」「お化粧や前髪をきちんとしたい」など、一般の方が思いつかないようなポイントを聞くことができました。

では、お葬式のプロではない一般の方に自分のお葬式について考えてもらったらどんな話が聞けるんだろう?と思った私は、広告会社で制作ディレクターをしている友人、高幡美里さんに依頼して自分自身の葬儀について考えてもらい、話を聞くことにしました。彼女はまだ38歳なので一般的にはお葬式を考える年齢ではありませんが、仕事や趣味を積極的に楽しむ彼女が考える「自分のお葬式」がどんなものなのか、話を聞く前からとても興味がありました。

彼女らしさが詰まったお葬式プランをお読みいただくことが、皆様ご自身のお葬式について考えるきっかけになりましたら幸いです。

お話を聞いた人

高幡美里さん 38歳 広告制作会社 制作ディレクター

プライベートではアクセサリーや染物の作成など創作活動に勤しんでいる。2013年に同じくクリエイティブな旦那様と結婚。夫婦二人暮らし。

      目  次

□「大晦日の夜」のようなお別れ

□狸小路でパーティー!?

□この世で夫だけ

□遺影も作品

□死にながら聴きたい音楽3選

□道のりを表現したい

「大晦日の夜」のようなお別れ

村井 まず、お葬式をする場所のイメージはありますか?

高幡 場所は特に無いんですけど、大晦日の夜とかお正月の昼間の、ダラダラして、親戚がいて、お酒を飲んでいる、みたいな雰囲気が理想だなと思います。大晦日の夜ってちょっとしんみりしているけど、もうすぐブランニューな雰囲気もありますよね。あまりしみじみとはして欲しくないです。

村井 お葬式なんだけど、悲しんでばかりという雰囲気では無い方が良いと。

高幡 はい。私にとって神様とか宗教はあまり身近ではないけれど、お葬式の時くらいまではまだ私の体の近くに私の魂のようなものがいるのかな?と思っていて。なので、大晦日の夜とかお正月の昼みたいに親戚が集まって、談笑しながら私が好きだったものを食べて欲しいです。お料理とかお菓子。「柳月のボンヌ好きだったよね」とか。きっと私より先に母は亡くなっていると思いますが、私は母が作る桜餅が大好きなので、「みーちゃん桜餅好きだったよね」とか言いながら。そして私はまだその辺りにいてうなずいている。そういう雰囲気が良いなっていうのが根底にあります。

村井 そうなんですね。ボンヌって食べたことがないです。

高幡 すごく美味しいんですよ!手土産にボンヌ、オススメです。

それで、場所のことを考えると、私は借家に住んでいるので家には思い入れがなくて。暮らした家なので好きですけど。そこにお葬式で親戚が来て、というイメージは無くて。住んでいる家でお葬式をすることが夫の負担になるのであれば、家でなくて良いかなと思います。

キッチンが付いてる座敷みたいなものがあって夫がお料理できて(高幡さんのご主人はお料理がとても上手です)、シャワーやお風呂やお布団があって、そういう場所があれば自宅でなくて良いです。

村井 ウィズハウスにはキッチンがありますよ(笑)

高幡 あとは親族だけでやりたいです。

村井 それはちょっと意外です!

狸小路でパーティー!?

高幡 と言うのは、友達とのお別れは別でしたいんです。火葬した後で良いので。私が死んだ時点で生活に存在しているような関係性の人に「打ち上げ」をして欲しいと思っています。

そのパーティーをしたい場所は斎場ではなくて、私が大好きな飲食店グループが最近すごく素敵な、本当に素敵な「ルマンド」というお店を狸小路にオープンしたんですけど。

そこを使わせて頂いて、そこで私が好きだった曲をかけ、私を想って歌っていただきたいです。

村井 歌うんですね!

高幡 そう、カラオケもあるので。

村井 なんだか楽しそう。

高幡 私の友達同士それぞれは面識が無くても、お互いが私とのエピソードとか思い出を話して、美里はこんなところがあったとか、知らない一面があったんだということを知って欲しいという気持ちがあるかもしれません。友達同士でそういう話をして欲しい。

村井 初対面のお友達同士でそのように交流することは難しいと思いませんか?

高幡 大丈夫だと思います。だから呼ばれたんだって思ってくれるんじゃないかな。

村井 社交的な友達が多い?

高幡 優しい人達が多いです。「美里がそういう風にして欲しいんでしょう」って汲んで、わかってくれる人が多い。

村井 すごく信頼しているんですね。あえて言わなくてもそうしてくれる、そういう会になるだろうなと思える。

高幡 面識が無い同士だけじゃなくて、もともと知っている人同士も私の死をきっかけに再会して、私に関係のない自分たちの近況報告をする。そういうのも良いなと思います。だから皆さんは素敵な服を着てきてください。喪服はやめてほしい(笑)

 

高幡さんがお友達とのお別れの場に選んだお店「ルマンド」は、「あの頃」を知っている大人にとっては懐かしく、知らない大人にとっては新しい、昭和と令和が融合した独特な魅力を感じさせるお店。 駄菓子が山盛りの回転台を見ると、子どもの頃デパートにお出かけした時のときめきが蘇る。

この世で夫だけ

高幡 それから、私は夫より先に死ぬ前提なんですけど。

村井 そうなんですね、なぜでしょうか?

高幡 私は先立たれる喪失感に耐えられないと思います。

村井 精神的によりどころにしているということでしょうか。

高幡 よりどころというか、多分この世で夫にだけ抱いている感情だと思います。

村井 この世で夫だけ、凄い感情ですね。いつ頃からそのような感じになったと思います?最初からですか?

高幡 いえ、最初はないです。今結婚8年目ですけど、そんな風に思うようになったのはここ2年くらいじゃないですかね。

村井 何か大きな出来事があったからということではなく、徐々に培われたという感じでしょうか。

高幡 そうだと思います。私、結婚する時は離婚しても良いやと思って結婚したんです。「確信が持てるまで結婚しない」じゃなくて、「まずはやってみよう」という感じでやってきて。特段問題があるわけではないけれど、半信半疑な部分がずっとあったのかもしれないですね。

村井 日々楽しく暮らしていても、だからと言ってこれが揺るぎない関係だとも思っていなかったということでしょうか。

高幡 そうですね。夫はたぶんずっと変わっていないような気がしていて。最初からすごく良くしてくれて。それが変わらずに続いているってすごいことだなと思います。

村井 うん、すごいと思います!最初優しい人でも、長く一緒にいると変わってしまうというのは珍しくないことですよね。

高幡 素晴らしい夫だなと思っていて。

村井 でも、それは相手が美里ちゃんだからできるということもあるんじゃないかなと思います。誰が相手でもそういられるわけではない、相性というか。

高幡 付き合うきっかけに、東日本大震災があったんですね。

私はそれまで一人で生きていくかもしれないと思っていた。誰かとずっと一緒にいられるのか、そこまで自分を信用できないという気持ちがあって。でも東日本大震災があって、けっこう自分は弱いな、怖いなって思って。相思相愛の運命の人とかじゃなくて、一緒に生きて行く人として誰かがいたら良いなという心細さを感じたのかもしれません。夫は生命力が強そうじゃないですか。体格がマッチョだし、なんでも作るし、動じることも無い。とびぬけて喜ぶこともなく、リアクションとかもあまりないけれど、動揺することもない。それが頼もしいなと思った。そして実際に一緒に7年間暮らしてきて、自分の不安定な部分を支えてもらった。自分が支えられて安定していることが身についているので、夫が亡くなったらどうなるかわからないです。

村井 結婚してからの方が安定しているなと感じますか?

高幡 そうですね。そして、変わらずにいさせてもらっています。

村井 結婚したんだからこういう役割をやってよ、みたいなことが全然ないということでしょうか?

高幡 そうですね、恩恵しかない。その甘えの一環として先に死なせて欲しいです。夫は大丈夫だから、安定してるから。

夫に私が先に死にたいって言ったら「いいよ~」って言ってました(笑)お葬式の時のお料理は夫に作ってもらいます。みんな、そこは楽しみにしていてほしい。

村井 あれだけお料理上手なご主人ですから、作ってくれるでしょうね。

高幡さんの旦那様は驚くほどお料理が上手。一般の家庭では出てこない食材や調味料を使いこなし、斬新な組み合わせを用いて作るお料理に、多くの友人・知人が魅了されている。

遺影も作品

村井 お通夜や告別式はどうしますか?お経とか焼香とか献花とか、そういう宗教儀礼とかセレモニー的なものはしない?

高幡 しなくて良いです。お通夜は親戚が集まってお料理食べて、お酒飲んで。ちょっと非日常な感じがある中で、翌日には出棺があるのでそこそこ早めに寝て余力を残しておいてもらって。

村井 次の日は一般的には告別式をするんですけど、それもセレモニーはせずにという感じで。

高幡 そうですねしなくて良いです。

村井 じゃあお別れはどうやってやりましょうね。

高幡 私、あまり物を遺していきたくないと思っていて。骨も散骨してほしい。夫とか、もし子どもが生まれたら子どもに、色々と遺して負担をかけたくないんです。

例えば夫にもらったアクセサリーとか、私が作った何かとかも。遺されたら大事にしなければならないと思ってしまうから。

なので、本当は色々と棺に入れて一緒に焼いてもらいたいんですけど(笑)それと、おめかしして行きたいです。着物を着ます。

※棺に入れられるものには制限があります。

村井 ああ、着物良いですね。

高幡 それから遺影ですよね。

村井 遺影はね、本当に選んでおいた方が良いと葬儀部の人から聞いています。短時間で探したり選んだりするのはかなり大変で苦労する方が多いそうです。

高幡 遺影兼SNSのプロフィール用で撮っておいて、3年ごとに更新しようかな。背景は自分でデザインして。

村井 美里ちゃんだったら遺影も作品になりますよね。

高幡 20代・30代・40代・50代という感じで、各世代の遺影を作って全部飾っても良いかも。

村井 それは面白いですね!

高幡さんがデザインし、Maker’sBaseの「母の日に贈りたいハンカチデザインコンテスト」で上位10選に選ばれ商品化されたハンカチと自作のアクセサリー。

死にながら聴きたい音楽3選

高幡 お葬式でかける音楽は何が良いかなと考えた時に3曲思い浮かんで。できれば死にながら聴きたいくらいなんですけど。そんなこと出来るのかな(笑)

その3曲がスピッツの「ロビンソン」、オアシスの「Whatever」、おとぎ話の「COSMOS」です。スピッツは中学生の時に聴いた、私の音楽の原体験とも言えるような曲。

村井 Whateverはどんな曲ですか?

高幡 Whateverは、人は何にだってなれる、何でも自由にやりなさい、何をしたってなんの問題もない、無駄話をしていたって良い、言う通りにしなくて良い、というような詞の曲です。存在を全肯定している曲ですね。私自身そういう風に言いたい、言われたい、と思う時期があった。そういう曲です。COSMOSは有名ではないけれど、その曲を聴いて子どもを産んでも良いと思えました。

村井 曲を聴いて?不思議、音楽ってすごいですね。直接的に子どものことを歌った曲ではないんですよね。

高幡 はい。それまでは私は自分のことも全然育て上げられないうちにこの歳になってしまったと思っていて、自分のことがままならないし。

それなのに自分ではない人生を抱えて、そこに費やせるほど自分が成熟していないと思っていたし、世の中はすごく厳しいとも思っている。でもその曲を聴いて、世の中は大変だけど、私自身その痛いところも苦いところも人生のきらめきだと感じていたんだなと気が付いて。大変だからと言って私が子どもを産まないというのは違うのかなと。私が転生するきっかけになりました。世の中にも自分にも期待していないけど、産んでみようと思った曲です。

道のりを表現したい

高幡 お葬式では10代の私、20代の私、30代の私・・・という様にそれぞれの時代の自分を表現できると良いなと思ったんですよ。死んだ時のことではなくて、そこまでの道のりを表現できたら良いなって。

村井 人生の軌跡を表現するお葬式ですね。

高幡 私の周りの人が私と密に接した時期ってそれぞれ違うと思うんですよね。幼馴染は小学校中学校、夫は30歳を過ぎてから、という風に。そういう状況の中で、誰でもそれぞれ密に接した私を思い出してくれるものがあるような、そういうお葬式がしたいです。今回自分のお葬式について考えてみて、それを表現できるのが遺影と音楽かなと思いました。

村井 確かに時期によって密接に過ごす相手は変わりますよね。

高幡 あとは、出来たら私にゆかりのある場所を回ってもらいたいですね。育った家、通っていた中学校、勤めていた会社、よく飲みに行っていた店。火葬の後でもかまわないので、そういうところを回ってもらえたら良いなと思います。それが出来たら私の道のりがより伝わるお別れになると思います。本当は生きてるうちに行けたら良いけど(笑)

いかがでしたか?高幡さんのお話を聞いて、以前当社葬儀部の二唐渚さんへのインタビューの際に「お葬式ってやらなきゃいけないからやるものだと思っている方がほとんどだと思うんですけど、実はそういうものじゃなくて。やりたいことが出来るのがお葬式なので」「こんなお葬式がしたい、というご希望をお持ちの方は、亡くなってからの短時間だと難しいこともあるので、事前相談にお越しいただくことをおすすめしています」と話していたことを思い出しました。

やらなければいけないからお葬式をするのではなく、ご自身や周りの方々が満足できるお別れの時間を過ごすためには何が必要なのか、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

香華殿と姉妹斎場ウィズハウスでは葬儀の事前相談を無料で承っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。