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【連載】プロが考える自分のお葬式 第3回「別れを経験した葬祭ディレクター」後編

葬儀の知識

別れを経験した葬祭ディレクターが考える「自分自身の葬儀」前編はこちら

こんにちは、香華殿の村井です。

日々葬儀に携わっている葬儀のプロが「自分自身」のためにお葬式を考えたら、そこにはお客様のお役に立つ情報が絶対にあるはず!と思いスタートした企画「葬儀のプロが考える自分のお葬式」。今回は㈱メモリアルむらもと葬儀部の二唐渚さんが考えた「自分のお葬式」の後編をご紹介します。

       目  次

□日常のようなお葬式

□手紙

□やりたいことが出来るのが「お葬式」

日常のようなお葬式

村井 棺に入れて欲しいものはありますか?

二唐 家族の写真と花です。

村井 お花は祭壇にして、その花を最後に棺に入れる感じですか?(でも祭壇いらないって言ってたか・・・)

二唐 祭壇にしなくて良いので、棺に入れる専用の花を用意して入れます。

村井 祭壇にしなくて良いんですね?祭壇にしなくて良いんですか??でも棺には花を入れて欲しいんですね。それってどういう気持ちですか?

二唐 見たらきれいだから。棺の中の故人さんの顔ってずっと覚えているものなので。花があると華やかできれいなので、花と家族の写真を入れて欲しいです。

村井 棺にお花を入れるってことは、花代がかかるじゃないですか。庶民的な話ですが、私はせっかくだからお花を飾って、そのお花を最後に棺に入れれば一石二鳥だと思うんですけど、あえて飾らない理由はあるのでしょうか?

二唐 普通にみんなでいつもみたいに集まってご飯を食べているけど、かたわらを見たら死んでるね、棺あるね、みたいな感じが良いなと思って。

村井 お葬式の雰囲気にしたくないってことですか?

二唐 しなくて良いって感じです。よく兄弟家族で集まってご飯を食べたりするので、その延長みたいな感じ。

「そう言えば渚ちゃん死んだよね。」

「棺あるね。」

それくらいの感覚が良いです。

村井 悲しまれるのが嫌だというお気持ちがあるのでしょうか?

二唐 そういうわけでもないんですけど、悲しくないわけはないので、あえて悲しい方向に持っていく必要はないかなと思って。

お父さんが亡くなった時、私の中では悲しい時間は限られていました。亡くなってからお葬式が終わるまでの間、ずーっと悲しいわけではなくて。悲しいことは悲しいんですけど、ずーっと泣いているわけではありませんでした。

お父さんはお酒が大好きで親戚もみんなお酒が好きなので、通夜振舞いの時は「冷蔵庫のお酒全部飲めるかな?」とか言いながらお酒を飲んで。そういう時間は楽しいし、山田さんに至っては、ペロンペロンで朝起きれなかったりとか(笑)朝、出勤してきた斎場スタッフに「あんたそろそろ着替えなさい!」って言われてました。(二唐さんのお父様のご葬儀は、香華殿札幌東斎場で行われました。)

みんなでお酒飲んで歌って踊ってという雰囲気の中、ふとした時に「お父さん死んじゃったんだな。」と思うけど、常に泣いているわけではなかったので、自分の時もそんな感じが良いかなと思います。皆でお酒を飲みながら、ご飯食べながら、宴会っぽい雰囲気が良いです。

村井 日常の感じにしたいから祭壇はいらないということですね。なるほど、そういう考え方もあるんですね。今はまだお子さんは小さいですが、その頃にはきっとお酒を飲まれているでしょうね。

ところでご自宅は石狩ですよね。火葬場は石狩にあるんですよね?

二唐 あるんですけど、火葬場は山口に行きます。火葬が早く終わるし、施設も新しくて綺麗なので。※ポイント1

村井 早いんですね。焼く時間が短いんですか?

二唐 焼く時間は変わらないと思うんですけど、札幌市は冷却を機械でするので。石狩市は自然冷却なので、冷却にかかる時間が違うんです。なので、結果的に収骨までの時間に差がでます。

村井 なるほど!それはレアな情報ですね。

手紙

村井 この前、私の上司から聞いた話で、若くして亡くなったお友達がノートに書き残していた思いを、ご家族が参列された皆さまにメッセージとしてお渡ししたことがあったそうなんです。それでその上司は自分もお手紙を遺したいと思ったそうですが、二唐さんはお手紙を書くということは考えられますか?

二唐 もしかしたら書くかもしれませんね。

村井 誰に書きますか?

二唐 (即答で)山田さんに。

村井 え、山田さんに?そっか、山田さんより先に亡くなる予定ですもんね。山田さんだけですか?

二唐 子どもには遺さないと思います。悲しいから。私も悲しいし、子どもも悲しくないですか?

村井 うーん、私だったら主人に何を書いたら良いのか分からないかもしれないですね。

二唐 嘘!私も、山田さんにどうしても遺したいかというとそういうわけでもないけど、子どもには遺さないですね。仮に私が65歳で亡くなったとして、息子が32、3歳なので遺さない。むしろ、手紙を遺してくれるような素敵な奥さんと結婚していて欲しいです。

村井 あ~、それが良いですね!

二唐 息子のことを一番に思ってくれる人と出会って、結婚して、孫がいれば最高ですね。

やりたいことが出来るのが「お葬式」

村井 最後に、これからご葬儀をされる方に何かお役に立つような情報があれば教えてください。

二唐 実務的なことであれば、本籍地を調べておくことが大切です。7割以上の方は本籍地がわからないので。※ポイント2

あとは、遺影写真は決めておくか、せめて候補を選んでおくと良いと思います。ずっと見ていく写真なので。

村井 遺影写真はお葬式の時だけのものじゃないですもんね。それはしっかり選んだ方が良いですね。

二唐 それから、お葬式ってやらなきゃいけないからやるものだと思っている方がほとんどだと思うんですけど、実はそういうものじゃなくて。やりたいことが出来るのがお葬式なので。

村井 そうですよね。

二唐 例えばよくあるのは楽器の演奏をする音楽葬だったり、何ならキャンプ葬とかでも、とにかくやりたいことが出来るのが葬儀なので。最近は宗教にこだわらない方もいますし、宗教の儀式を行うとしても、その中で出来ることもありますし。

「こんなお葬式がしたい」というご希望をお持ちの方は、亡くなってからの短時間だと難しいこともあるので、事前相談にお越しいただくことをおすすめしています。※ポイント3

村井 特にこれからの時代は、義務的に行うお葬式ではなく、やりたいことを実現するお葬式が増えそうですね。本日はお忙しいところありがとうございました。

二唐さんと私がきちんと会話をしたのはこの日が初めてと言っても過言ではないくらい接点が少ない間柄だったにも関わらず、お父様のご葬儀のお話など立ち入った質問をしてしまいましたが、しっかり受け止めてお話してくださいました。

実体験をお仕事に活かされる誠実なお人柄と、ご夫婦の仲睦まじい様子、息子さんへの深い愛情が垣間見えるインタビューとなりました。

次回は、今回のインタビューに度々登場されていた二唐さんのご主人、山田元樹さんにお話しをお聞きします。

葬儀お役立ちポイント

ポイント1 石狩市に住民票がある方が札幌市の火葬場を利用する場合にかかる費用は49,000円ですが、火葬後90日以内に市役所で所定の手続きを行うことで市から44,000円が補助されます。石狩市民が石狩市の火葬場を使用する場合の利用料は5,000円ですから、補助金を受給することで実質負担額は同額となります。

ポイント2 以前は運転免許証に本籍地の記載がありましたが現在では記載されていません。本籍地・筆頭者が記載された住民票を取得する」「免許書とスマートフォンのアプリを使う」等の方法で、本籍地を確認することができます。

ポイント3 お葬式は宗教儀式だから出来ることは限られていると思っている方も多いかもしれませんが、近年は無宗教の葬儀も増えています。事前にご相談いただくことで「本当にやりたいお葬式」を実現することが可能になります。