通夜の夜に行う「寝ずの番」ではどうして線香の火を絶やしてはいけないの?

こんにちは、香華殿の村井です!
皆さんは、お通夜の夜、線香の火を絶やさずに故人を見守る「寝ずの番」をご存知でしょうか。

通夜の夜は、故人の亡骸と一緒に過ごす最後の夜です。
どんなに名残惜しくても、ほとんどの場合翌日にはご遺体は火葬されてしまいます。
その大切な最後の夜に行う「寝ずの番」について、意味を知っているのと知らないのとでは送る側の気持ちが大きく違ってくるのではないでしょうか。

そこで今回は「寝ずの番」を行う理由や近年の傾向についてまとめました。
わかりやすくご説名するために、まずは仏教における死後の世界についてお話します。

目次
1.仏教における死後の世界
2.寝ずの番をする理由
3.寝ずの番は現在でも行われているの?
4.通夜の夜だけで大丈夫?
5.寝ずの番は誰がする?
6.まとめ

1.仏教における死後の世界

仏教の多くの宗派において、人は亡くなってから7日目に三途の川に到着するとされています。
その後、七日ごとに生前の行いに対する裁きを受ながら冥土を旅し、四十九日目の最後の裁判で来世がどんなものになるのか、又は生まれ変わることなく悩みや苦しみのない浄土へと迎えられるのかが決まります。

来世が人間であるとは限らず、生前の行いによっては動物に生まれ変わることもありますし、地獄に落ちて責め苦を受けることもあるとされています。

2.寝ずの番をする理由

このように、亡くなってから四十九日まで冥土を旅する間、故人の唯一の食べ物が線香の煙だと言われています。故人がお腹を空かせて辛い思いをしないように唯一の食べ物である線香の煙を絶やさないことが、寝ずの番をする理由の一つです。

もう一つの理由は、炎にはあの世とこの世を結ぶ役割があり、ろうそくの灯りと線香の香りを道標に故人が迷わずあの世にたどり着けるよう手助けするためだと言われています。

このように寝ずの番は残された家族が故人の為を思って行う行為なのです。

ただし、浄土真宗には「往生即成仏」という教えがあり、亡くなった人は冥土を旅することなく浄土へ迎えられるとされているため、宗教儀礼として寝ずの番を行う必要はありませんが、風習として行う方はいらっしゃいます。

また、医療が発展していなかった時代には死亡診断が難しく、亡くなったと思われた人が実は生きていて通夜の夜に意識を取り戻し、生き返ったと思われたこともあったため、ご遺体の側で様子を見守るために行っていたという側面もあるようです。

その他、線香の香りに魔除けの効果があると考えて行われていたという説や、ご遺体のにおいを緩和するために行われていたという説があります。


3.寝ずの番は現在でも行われているの?

宗教離れが進む現在において、寝ずの番を行うことは一般的なのでしょうか?

以前は体力のある若いお孫さんなども交代で寝ずの番を行っていましたが、少子高齢化・核家族化の影響を受け、現在は見守る家族の数が減りご家族の負担が増えています。

そのような理由から、現在では通夜をする全ての家族が必ず寝ずの番を行っているわけではありません。
近年では燃焼時間の長い渦巻き型の線香などを利用して、徹夜をせずに休む方も多くいらっしゃいます。

香華殿では24時間灯るろうそくや12時間以上燃焼する渦巻き線香をご用意しておりますので、これらをご利用になり夜は休まれる方がほとんどです。

4.通夜の夜だけで大丈夫?

前述したように、亡くなってから四十九日までの間、故人はろうそくの灯りと線香の香りを必要としているため、本来は通夜の夜に限らず四十九日までの間はろうそくと線香の火を絶やさないことが正式です。

実際、お通夜の夜は必ずと言って良いほど皆さんろうそくと線香の灯を絶やしません。ですが四十九日までとなると話は別で、火災が起こる恐れであったり、ご家族に疲労が蓄積したりすることを考慮すると、長期間ろうそくや線香の火を灯し続けることはおすすめできないと言えるでしょう。

5.寝ずの番は誰がする?

ほとんどの場合、寝ずの番を行うのは故人の子どもや孫などごく近しい遺族ですが、誰がしなければいけないという決まりはありません。また、一人で夜通し行わなければいけないわけではなく、複数人が交代で行うことが一般的です。

6.まとめ

お通夜の夜、線香の火を絶やさずに寝ずの番を行う理由は、故人の唯一の食べ物と言われる線香の煙を絶やさないことで、故人がお腹を空かせて辛い思いをしないためです。また、ろうそくの灯りと線香の香りを道標に、故人が迷わずあの世にたどり着けるよう手助けするためとも言われています。

寝ずの番と言っても近年では燃焼時間の長いろうそくや渦巻き型の線香を利用して、徹夜をせずに休む方も多くなっています。

一覧へ戻る